9月に入って、1ドル=140円台までドル高・円安が進みました。
長期投資に目先の為替の動き(円高・円安)は関係ありませんが、円安になると「外貨投資のチャンス」といった内容の記事が増え、逆に円高では「為替リスクに注意」といった記事が増えるため、情報に振り回されて冷静・正確な判断ができなくなります。
「資産形成に為替ヘッジは必要?」といった内容の質問を受けることがあります。
結論から申し上げますと、資産形成に為替ヘッジの必要はありません。
上図は円が変動為替相場制に移行した1973年以降のS&P500指数とドル円の値動きです。
急激なドル安に歯止めをかけるため1987年2月にルーブル合意が米国主導でなされました。その後、円高・ドル安が進みました。
一時は1ドル=79円台まで円高が進みましたが、80円台まで続いた日本の経済成長が止まった局面から1ドル=75~150円のレンジで動いていると見ることができます。
ここで忘れてはならないのが、為替はあくまで通貨間の交換レートであるということです。
ドル円のように国の信用力が相当に高いもの同士の交換レートはある一定のレベルから外れて円高や円安に動き続けることはありません。
つまり、一方方向に動き続けることは原則ありません(どちらかの国が国家破綻のような状況に陥れば状況は変わります)。
確かに、1973年当時の1ドル=300円から見ると、現在の1ドル=140円は半分以下になっています。1973年当時購入した資産価値は半分になっています。
それに対して株式は企業成長を裏付けにしているので、長期的には右肩上がりになると考えることができます(短期的には下落することもあります)。
S&P500指数の値動きを見れば一目瞭然です。
同指数は、1973年当時は110ポイント。1987年当時は300ポイント、現在は4000ポイントで、1987年と比べて約13倍になっています。
従って、株価の上昇力と為替の動きの両者を考慮した場合、為替ヘッジのコストを払ってまで為替ヘッジをするには無意味と言っても過言ではありません。
20~30年といった資産形成で重要なのは、株式市場全体の成長であり、それ以外のファクターはノイズ(雑音)として扱っても良いと考えます。